こうのとりのゆりかご

話題騒然!日本初の赤ちゃんポスト設置

― 熊本県 慈恵病院 ―

全国初の赤ちゃんポスト、こうのとりのゆりかごが2006年に設熊本県熊本市慈恵病院に設置されました。
熊本城より少し高台にある慈恵病院。
キリスト教系列の病院なだけあり、病院の玄関の真横には産まれたばかりのキリストを抱いた優しい聖母マリア像が…
こうのとりのゆりかごにもマリア様の像がありました。
和性マリア様こと、慈恵病院看護部長の田尻さんに取材してきました!

Q,こうのとりのゆりかごを全国初で設置することになった経緯を教えてください。

もともとドイツに「ベビークラッペ(赤ちゃんの寝床)」というものが至るところに設置されています。それは、赤ちゃんがその辺に捨てられているという悲しい現実を失くそうと、捨てるならベビークラッペへ、という意味で設置されたものです。
2004年に、「胎児から命」と考える生命尊重センターから誘いがあり、ドイツに視察に行きました。4つの施設を回って感じたことは、命の対する取り組みが非常に真剣で、そして妊娠に困っている方々に対するサポートも非常に真摯に厚く行っているということでした。
2005年に3件も、胎児の遺棄事件が熊本で起きました。
その事件が、理事長はじめこの病院のスタッフ一同、設置に踏み切る決意となりました。
遺棄をする母親・父親…しかし、それを傍観していただけの私達も同じ罪なのではないかと感じました。
2006年の11月に熊本市に申請し、2007年4月5日に設置の許可がおりました。

Q,こうのとりのゆりかごの設置の目的を教えてください。

こうのとりのゆりかごが「赤ちゃんポスト」と報道されてしまったせいで、「育てられない赤ちゃんや子供をお願いするところ」といったイメージが先行してしまったようですが、もともとは、何らかの理由で望まない妊娠をしてしまった、何らかの理由で産みたいけど産めない育てる自信が無くなってしまった…etc そんな方々に、事前に相談をしてもらうための窓口として設置したのがこうのとりのゆりかごです。
妊娠に悩む女性の緊急避難所として、選択肢が増えるようにと考えています。

Q,具体的にはどういった活動をしているのですか。

24時間体制で相談に対応しております。
その他に相談を受けた方への電話訪問やカウンセリングを通して、何が原因でどんなケアが必要かを話し合っていきます。妊娠・出産への不安、産後うつやマタニティーブルーズ、その他不安に感じていることなどを解決していけるよう寄り添います。
相談された方の人権を尊重して、個人情報は必ずお守りします。

Q,もし赤ちゃんがこうのとりのゆりかごに預けられた場合は その後、どうなるのですか。

預けられた場合は、医師による赤ちゃんの健康チェックを行い、直ちに関係機関である熊本市役所、児童相談所、警察へ連絡します。その後の処遇はケースバイケースですが、基本的には児童相談所で一時保護されます。
その後、養子縁組ができないか等を検討していきます。
でも日本の特別 養子縁組の規定は厳しいものです。簡単に養子が認められる訳ではなく、様々なルールやハードルをクリアしたご夫婦にだけ認められるような制度です。実際、ゆりかご設置後に、子どもさんが授からず養子縁組を希望されるご夫婦からの問合せが非常に多くありました。

国の社会養子縁組制度のさらなる充実を早期実現できるよう、行政への働きかけを現場から発信していきたいと考えています。

Q,こうのとりのゆりかごの目指すところを教えてください。

これからの若者達に、命を軽視しないよう考えて頂きたいです。
矛盾してしまうようですが、本当は、こうのとりのゆりかごなんていらない社会になってほしい、それが私達の願いです。

― 取材後記 ―

こうのとりのゆりかごは、育てられない赤ちゃんを預けに来るだけが本来の目的ではなく、妊娠した女性、産まれた赤ちゃん、命の尊さを世の中に発信していくためのものなのだとわかりました。
一部報道では「赤ちゃんポスト」のネーミングについて、「赤ちゃんをモノ扱い」など、中傷の記事もあったことにすごく憤りを感じました。ドイツのベビークラッペの直訳が赤ちゃんポストという名前なんだということを理解した上で、責任のある報道をしてほしかったと思います。
ボランティア精神、慈愛に溢れ、悩んだ人たちのかけこみ寺的な役割の慈恵病院のスタッフの皆様に敬意を表します。捨て子、育児放棄、虐待の無い世の中へと戻りますように…。私も切に感じました。
取材にご協力頂き、ありがとうございました。

熊本県 慈恵病院のホームページはこちら熊本県 慈恵病院のホームページはこちら
pagetop