妊娠
世界規模で広がる「ピンクリボン運動」とは、女性たちに乳がんの正しい情報を発信する運動のことですが、具体的な運動内容は一体どのようなものなのでしょうか。また、乳がんによる死亡者数が増えている日本において、どのような広がりを見せているのでしょうか。女性ならぜひ知っておきたい「ピンクリボン運動」について、詳しくお話していきたいと思います。
乳がんってどんな病気?
日本では、今、乳がんになる女性が増えています。著名人が若くして乳がんで亡くなったという悲しいニュースを見ると、もはや、他人事で済ませられませんよね。
お子さんをお持ちのママなら、なおさら不安に感じるのではないでしょうか。
まずは、乳がんがどんな病気なのか知っておきましょう。
〈乳がんの症状〉
乳がんは乳腺に発生する悪性腫瘍のことです。
初期の乳がんの場合、自覚症状はほとんどありません。がんが進行するにつれ、乳房周辺のしこりや痛み、乳頭からの分泌物、乳頭部のただれ、皮膚のくぼみなど、さまざまな症状が見られるようになります。少しでもおかしいと思ったら、専門医で検査を受けることが大切です。
〈乳がんは、日本人女性に最も多いがん〉
国立がん研究センターがん対策情報センターによると、日本人の2人に1人は生涯何らかのがんになるといわれており、女性に関しては、乳がんが最も多く、日本人女性の約11人に1人が乳がんを経験しています。この数字から見ても決して珍しい病気ではないということがわかりますね。
また、30歳~64歳の女性のがんによる死亡率が最も高いのも乳がんで、悲しいことに年間約14,000人もの女性が乳がんにより命を落としているのです。
〈乳がんは“見逃さないこと″が治癒のカギ〉
がんになりにくい身体にするためには、禁煙や食事の見直し、適度な運動など生活改善が予防法としてありますが、完全にがんを防ぐ方法は残念ながらありません。
しかし、乳がん対策としては、「基礎知識をもち、自己検診・定期検診を受けること」が最も有効な対策方法であります。
なぜなら、乳がんは、早期発見・早期治療をすることで、90%以上が治癒できるからです。だからこそ、乳がんを見逃さないための自己検診・定期検診することが重要なのです。
ピンクリボン運動とは?
ピンクリボン運動とは、乳がんに関する正しい知識を多くの女性に発信し、乳がん検診を受診することによる早期発見や早期治療を促す啓発運動のことです。
ピンクリボンは、世界共通のシンボルマークで、「気づき」と「行動」の意味が込められています。
世界規模のピンクリボン運動はどのように拡大したのか
始まりは1980年代。この頃はまだ、乳がんについて今よりも研究が進んでいませんでした。乳がんによる死亡率が増加していたアメリカで始まった市民運動が、ピンクリボン運動の最初といわれています。
その後、アメリカでは、フォード、レーガン前大統領夫人が、襟にピンクリボンバッジをつけ、自らの乳がん体験を公表したことや、1993年にクリントン前大統領が、10月の第3金曜日を女性が無料でマンモグラフィを受診できる「ナショナルマンモグラフィデイ」に制定したことなど、国を挙げて取り組むようになったことから、運動がより活発になっていきました。
ピンクリボン運動の内容としては、政府・関係学会・市民団体・企業などが互いに提携・協力して乳がんの啓発イベントを開催したり、ピンクリボンに関する商品の販売を行い、その収益金を財団や研究団体に寄付したりといった活動が主になります。
こうした活動の結果として、欧米では1990年代以降、乳がんによって命を落とす患者さんは減少しています。
先進国のなかで、検診受診率が低い日本
前章で、欧米各国では、すでにピンクリボン運動が浸透しており、乳がんによる死亡率が減少しているという話をしました。しかし一方、日本では、まだまだ乳がんに関する知識や関心が浸透していないのが現状です。
実際に、欧米各国では乳がん検診の受診率が70~80%であるのに対し、日本人女性の受診率は40%と低い水準であります。
日本の医学技術や医療施設のレベルは、他の先進国と比較しても引けを取らない高い水準と言われているにも関わらず、先進国のなかで日本だけが、がんによる死亡率が年々増加しています。
その原因の一つとして考えられるのは「検診受診率の低さ」といわれています。検診が浸透していない日本ではがんの早期発見の割合が低く、結果としてがんによる死亡率の増加に関わっているようです。
日本におけるピンクリボン運動の現状は?
日本国内にも多くのピンクリボン運動組織が存在しています。いくつかご紹介しましょう。
〈認定NPO法人乳房健康研究会〉https://breastcare.jp/index.html
乳がんによる死亡率低下を願う4人の医師が2000年に立ち上げた日本初の乳がん啓発団体です。
出版・調査活動、ピンクリボンバッジ運動、セミナーやイベントの開催などを通して乳がんの早期発見・早期治療の大切さを伝え、死亡率低下を目指す活動を展開しています。
〈NPO法人ピンクリボンうつのみや〉https://www.pinkribbon-no-wa.jp/
栃木県宇都宮市にあるNPO団体。「全国初の乳がん検診受診率50%」を目標にかかげ、各地でのセミナーや街頭キャンペーン、各メディアによる教宣活など、幅広い活動を行っています。
〈NPO法人J.POSH 〉http://j-posh.com/
法人名は、「Japan Pink-ribbon of Smile and Happiness=日本笑顔と幸せのピンクリボン」 を意味しています。
主な活動として、乳がんの自己検診の方法を記載したポケットティッシュの制作&配布や、全国の温泉施設にパートナー登録をしてもらい、パートナーを通じて、乳がんの手術をされた方でも安心して温泉を楽しめる環境作りに取り組んでいます。
また、母親が乳がんの闘病生活を送っている高校生を対象に、経済的なサポート活動も行います。
〈ワコール〉https://www.wacoal.jp/pink_ribbon/
下着メーカーの大手ワコールも、ピンクリボン運動に力を入れています。乳がんの早期発見、早期治療、術後のクオリティオブライフ向上に関する情報発信やサポートを行っています。
具体的な活動としては、ワコールグループの約1,600店舗の売場で、ピンクリボン・チャリティフィッティングを実施。期間中にブラジャーを1枚ご試着ごとに10円を、お客様に代わってワコールからピンクリボン運動団体に寄付しました。
また、乳がん手術を受けた人へブラジャーや、スイムウェアの提案を行っています。
〈ピンクリボンフェスティバル〉http://www.pinkribbonfestival.jp/
初めてピンクリボンフェスティバルが行われたのは2003年。朝日新聞社が中心となって運営委員会を設立し、各地で乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝える活動を始めました。
主な活動として、毎年ピンクリボン月間である10月に開催される「ピンクリボンスマイルウォーク」があります。東京、神戸、仙台で実施されており、街行く人に乳がん検診を促しています。
その他には、乳がんの専門医師や乳がん経験者をゲストに招いたシンポジウムを開催し、乳がんの最新治療や心のケアなどについて意見交換をします。
まとめ
乳がんの検診率が低い日本においても、検診率を上げる啓蒙活動がどんどん広がりを見せています。特に10月はピンクリボン月間ですので、きっとピンクリボンという言葉を目にしたり耳にすることが多い時期でしょう。
自分も参加したい!と思う方は、「ピンクリボンに関する啓発グッズ」を購入してみるのもいいでしょう。グッズの売り上げはピンクリボン基金として活用されます。
グッズを持つことで自分自身、意識も高まりますし、グッズを見て「これ何?」と質問されたときは、乳がんの早期発見・早期治療の大切さをあなたから別の人に伝えることができますね。
当事者意識をもって、できることから始めてみるといいでしょう。
そして、つい自分のことは後回しになりがちなママも、この機会に乳がんについて考え、検診を受けたり、病気について詳しく学んでみてはいかがでしょうか。
また、検診を受ける時間がない、予約が取れない、抵抗があるという方々も含めて、是非とも常日頃からの「乳房セルフチェック」を行うことをお勧めします。
乳がんに罹患した方々の約4〜5割はご自身で乳がんを発見されているのです。
「乳房セルフチェック」を多くのご家庭で習慣化することも大切で、少しでも異常を感じたら乳がん検診をスグに受けに行きましょう!
「乳房セルフチェック」の普及は、乳がん検診率を高めるための「ピンクリボン運動」となります。
コメント
コメントがありません。