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妊婦健診はいつから?頻度と費用ってどれくらい?補助はある?

妊婦健診はいつから?頻度と費用ってどれくらい?補助はある?

妊娠すると、赤ちゃんの成長と母体の健康を確認するために妊婦健診を受ける必要があります。妊婦健診とは、いつから、どれくらいの頻度で行われるのか。またかかる費用はどれくらいなのか。自治体からの補助はどのようなものか?気になる疑問を解決します!

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妊婦健診の開始時期や頻度、回数


【妊娠週数の数え方は?】


妊婦健診の頻度や時期を「妊娠◯週目」という形で表します。そのため、そもそも妊娠週数はどのように数えているのか、を知っておきましょう。
最後の月経開始日が妊娠0日です。妊娠0日〜6日が妊娠0週、妊娠7日〜13日が妊娠1週、という形で数えます。月経周期が28日の人であれば、次の月経予定日には妊娠4週目頃に入っていることになるのです。

【初診はいつ行けば良いの?】


定期的に来ていた生理が1週間以上遅れた場合、妊娠の可能性が考えられます。まずはセルフの妊娠検査薬でチェックしてみましょう。
ドラッグストアなどで購入できます。検査で陽性反応が出たら、次は産婦人科に行きましょう。
月経予定日を1週間過ぎた時点で妊娠5週目頃ということになります。

初診の時期としては、検査薬で結果が出た妊娠5週目頃でも良いですが、この時点ではまだ赤ちゃんの心拍が確認できないことがほとんどです。
心拍が確認できないと、1週間から2週間後にもう一度診察に行くことになります。

そのため、心拍確認ができる可能性が高い妊娠6週目〜7週目頃に初診に行っても良いでしょう。
なぜ心拍確認が重要かというと、心拍確認によって妊娠確定となるからです。妊娠が確定すると、自治体から母子手帳を受け取ることができます。

【妊婦健診の頻度と回数はどれくらい?】


厚生労働省によると、妊婦健診の周期と回数は14回と例示されています。
頻度は、
妊娠初期〜妊娠23週(妊娠4~6ヶ月頃)までが4週間に1回。例えば妊娠12週で初回の健診を受けた場合、16週、20週、24週の4回です。
妊娠中期の妊娠24週~妊娠35週(妊娠7~9ヶ月)は2週間に1回。例えば、26週、28週、30週、32週、34週の5回です。
妊娠中期の妊娠36週以降(妊娠10ヶ月)になると1週間に1回になります。例えば、36週、37週、38週、39週、40週の5回でちょうど出産予定日の時期を迎えることになります。

もちろん、何かしらの異常を感じた場合は、健診とは別に受診して構いません。また、ぴったり4週間、2週間、1週間の間隔でなければならないわけではありません。体調さえ安定していれば、多少前後しても大丈夫です。
また初診が早かった場合、厚生労働省が想定する妊婦健診の1回目までに、何度か受診する場合があります。特に、妊娠初期は流産などが心配な時期でもあり、心拍確認が終わってからも1〜2週間に一度受診することになるかもしれません。
さらに出産予定日を越えた場合は、状況に応じて週に2〜3回と健診を行うことも多く、検診の回数は14回を超えることになります。健診回数が例示されている14回を超えることは、珍しいことではありません。

【出産予定日の決まり方】


出産予定日は、最後の月経開始日から280日後(妊娠40週0日目)、と考えるのが最も単純な算出の仕方です。
しかしこの280日は、月経周期が28日を基準としているため、全ての人に当てはまるわけではありません。

また、最終月経の開始日を正確に記憶していなかったり、月経周期を把握していなかったりする場合もあるかもしれません。さらには、体調によって周期が乱れている可能性もあります。
そのため、胎児の大きさに個人差が少なくなる妊娠8週目〜11週目頃に、頭殿長(CRL)の長さを測定し、その成長具合を見て正確な出産予定日が確定するのが一般的です。
出産予定日が確定した際、最終月経の開始日から計算した予定日と変わった場合、妊娠週数も合わせて訂正されます。

【分娩予約はいつ頃するの?】


出産予定日が決まると、それと同時に分娩予約を入れられるようになることが多いです。近年の産科医不足に伴い、早く分娩予約を入れておかなければ、健診を受けている病院で分娩ができないということにもなりかねません。
人気のある病院に至っては、5週目頃には分娩予約を取っておかなければ予約がいっぱいになるということもあるようです。どうしても出産したい病院がある場合は、初診も早めに行っておいた方が良いでしょう。

里帰り出産の場合でも、一度は診察を受けないと分娩予約を入れられない場合がほとんどです。
遠方の場合、体調の安定しない時期の移動は大変ですので、比較的分娩予約の入れやすい病院を探しておくと良いかもしれません。
地域によって、8ヶ月頃までに予約を取れば良いというところもありますが、自分の周りの常識が、別の地域の常識とは限らないのです。

妊婦健診にまつわる費用


【初診の費用はどれくらい?】


妊娠は病気ではないため、初診に健康保険は適用されません。そのためすべて実費で支払うことになります。初診の費用相場は1万円前後といったところですが、中には3000円や5000円ですむ病院や、1万5千円〜2万円以上かかる病院もあり、様々です。HPに費用を掲載している場合はあらかじめチェックをしておくか、掲載がない場合は電話で確認しておくと安心です。

初診の病院で、そのまま必ず妊婦健診を受けなければならないわけではありません。すぐに妊婦健診を受けたり、出産をしたりする病院が決められない場合は、ひとまず利用しやすい病院で初診を受けることもできます。

【分娩予約金とは?】


分娩予約の際に、予約金が発生することがあります。その金額は様々で、2万円程度のところもあれば、30万円以上というところもありますが、5〜20万円程度が相場と言えそうです。

予約金を支払ったタイミングで予約が完了する場合や、予約を入れた後、期日までに支払う場合があります。予約金を支払わなければ予約ができない場合、「費用の準備に時間がかかって予約が埋まってしまった」なんてことにならないよう、事前に調べて準備しておきましょう。
この予約金は、最終的に分娩費用や入院費用に充てられます。ですので、最終的な出産費用には変わりありません。先に払うか、後で払うか、という違いです。

しかし、10万、20万となってくるとかなりの大金です。このタイミングでお金を用意することができないという方もいると思います。
そんなときは「出産費貸付制度」という制度を利用できます。
「出産費貸付制度」とは、全国健康保険協会が、出産に要する費用が必要である場合に、出産育児一時金が支給されるまでの間、無利子でお金を貸してくれる貸付制度のことです。

対象は、<全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者又は被扶養者で、出産育児一時金の支給が見込まれる方のうち、次の「① 出産予定日まで1ヶ月以内の方」もしくは「② 妊娠4ヶ月(85日)以上の方で、病院・産院等に一時的な支払いを要する方」に該当する方>となっています。
出産育児一時金というのは、健康保険法上でも定められている「出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度」です。

この一時金は、出産時に全国健康保険組合から医療機関に直接、もしくは医療機関に支払った後に申請して支払いを受けることが可能です。
「出産費貸付制度」の貸付金は、全国健康保険協会へ支給申請するこの出産育児一時金の給付金の支払を充てることになるので、どなたでも安心して利用できるのではないでしょうか。

【妊婦健診の費用はどれくらい?】


妊婦健診は自由診療であるため、病院によって設定金額が異なります。

基本検査の際の相場は約3000〜5000円ほどですが、立地や施設などによって1万円以上というところもあります。
基本検査の他に、血液検査や腟分泌物検査、NST(ノンストレステスト)などの特別な検査をした場合は、追加で1万円〜3万円程度の費用が必要です。
血液検査は初期・中期・後期の3回行うことが多いです。特に初期は血液型の検査に加え、貧血、風疹抗体の有無、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV(エイズ)、トキソプラズマ抗体、不規則抗体、T型白血病(ATL)などの検査と項目が多く、費用が高額になることを覚えておきましょう。中期と後期の血液検査は検査項目が減るため、1万円〜1万5千円程度の費用ですむことが多いようです。

これらを健診回数の平均14回に合わせて計算すると、妊婦健診費用は平均で10万〜15万円程度ということになります。
また、妊婦さんの中には楽しみにしている人も多い、赤ちゃんの様子が見られる経腹エコーですが、毎回必須の検査というわけではないため、余分な経腹エコー検査には基本検査以外の費用がかかる場合があります。毎回ほとんど無料(基本検査の一部)で行ってくれる病院もあれば、追加料金が3000〜5000円程度かかる病院もあるので、事前に確認しておくと安心です。

自治体からの助成内容(補助券について)


【自治体からの助成:妊婦健康診査受診票(補助券)】
妊婦健診だけでも10万円〜15万円程度かかると聞いて、驚いて不安に思った方もいると思いますが、安心してください。
保険適用外の妊婦健診を全て実費で支払うのは経済的に負担であるため、自治体からの助成があります。

それは、お住いの自治体に必要書類を提出し、母子手帳を受けるときにもらえる「妊婦健康診査受診票」です。
いわゆる「補助券」と言われるものです。
補助券が使える範囲は、自治体によって異なります。
発行した市のみで利用できる場合、発行した市のある都道府県内であれば利用できる場合、隣接の市であれば利用できる場合、近隣の県で幅広く利用できる場合などがあります。注意しなければならないのは、A市で発行されたものがA市とB市で使えても、B市で発行されたものはB市のみでしか使えないという場合があることです。A市からB市に引っ越した場合などには、両方で使えると思い込んでしまう可能性があります。
また補助券の金額や枚数も、自治体によって異なります。ここでは、東京都世田谷区、愛知県名古屋市、大阪府大阪市、福岡県福岡市について調べたものをご紹介します。

<東京都世田谷区>
・助成総額(すべての補助券を使用した場合):85,460円
・内訳
妊婦健診1回目(初期の血液検査含む):10,850円
妊婦健診2〜14回目(基本的な検査と腟分泌物検査、NSTなどを含む)
:1回あたり 5,070円(合計65,910円)
超音波検査(1回分):5,300円
子宮頸がん検診(1回分):3,400円

<愛知県名古屋市>
・助成総額(すべての補助券を使用した場合):107,100円
・内訳
妊婦健診1回目(初期の血液検査含む):19,050円
妊婦健診2回、3回、5回、9回、12回〜14回目(基本的な検査)
:1回あたり 4,790円(合計33,530円)
妊婦健診4回、6回、11回目(基本的な検査と超音波検査含む)
:1回あたり 10,090円(合計30,270円)
妊婦健診7回目(基本的な検査と後期の血糖検査など含む)
:8,630円
妊婦健診8回目(基本的な検査と性器クラミジア検査含む)
:7,230円
妊婦健診10回目(基本的な検査とB群溶血性レンサ球菌検査含む)
:8,390円

<大阪府大阪市>
・助成総額(すべての補助券を使用した場合):100,930円
・内訳
妊婦健診1回目(初期の血液検査含む):24,840円
妊婦健診2回、3回、5回、7〜10回、12回〜14回目(基本的な検査)
:1回あたり 3,750円(合計37,500円)
妊婦健診4回目(基本的な検査と超音波検査含む):8,530円
妊婦健診6回目(基本的な検査と後期の血糖検査、性器クラミジア検査、超音波検査などを含む):16,470円
妊婦健診11回目(基本的な検査とB群溶血性レンサ球菌検査、超音波検査など含む):13,590円

<福岡県福岡市>
・助成総額(すべての補助券を使用した場合):103,690円
・内訳
妊婦健診1回目(初期の血液検査など含む):16,300円
妊婦健診2回、3〜5回、9回、11回、13回、14回目(基本的な検査):1回あたり 5,100円(合計40,800円)
妊婦健診6回目(基本的な検査と貧血検査含む):6,690円
妊婦健診7回目(基本的な検査とクラミジア検査含む):8,700円
妊婦健診8回目(基本的な検査と貧血・血糖・ 超音波検査含む):13,020 円
妊婦健診10回目(基本的な検査とGBS検査含む):8,300 円
妊婦健診12回目(基本的な検査と超音波検査含む):9,880 円
※これらの補助券を助産所で使用する場合、使える種類が決まっていたり、金額が異なっていたりします。

日本全体で見ると、助成額が最も多い自治体では12万円近く、最も少ない自治体では6万円強と、倍近い開きがあるようです。上記4つの都市の例を見ても、補助券の金額や内容には違いがあることがわかります。
お住いの自治体の助成内容について、詳細を確認してみてください。ほとんどの場合、自治体のHPに掲載されています。

補助券についての疑問アレコレ


<補助券を忘れた場合>


補助券を忘れた場合の後日払い戻しは、基本的には不可となっていることが多いです。しかし、病院側の好意で次回の持参にて対応してくれたり、自治体によって払い戻しが可能であったりすることもあります。

<補助券を紛失した場合>


補助券を失くしてしまった場合、残念ながら基本的には再発行ができません。しかし、災害や盗難などの場合は例外的に再発行をしてもらえることが多いです。また紛失の際、再発行はできなくても償還払い制度を利用できる自治体もあります。

<補助券が足りなくなった場合>


補助券がなくなった後は自己負担となり、追加発行は基本的にありません。しかし、自治体独自で追加発行をしている場合があります。

<補助券が余った場合>


出産が早まった場合などに、補助券が余ってしまうことがあります。余った補助券は残念ながら現金化はできず、処分することになります。
ただし、ごく稀に条件付きで現金化ができる自治体もあるようです。

<補助券の適用範囲外で助成を受けたい場合>


里帰り出産の場合や、県境に住んでいた場合など、持っている補助券の適用外の病院で検診を受けたい人もいると思います。
その場合、多くの自治体で設けられている償還(払い戻し)払いという制度が利用できます。償還払いとは、医療機関において一度全額を支払った後、自治体に申請し払い戻しを受けられるという仕組みです。

償還払いの場合、すべての助成を受けられることもありますが、一部のみの場合もあります。これらの対象も、自治体によって異なります。
償還払いを利用する一般的な方法は、申請書、未使用受診券、領収書、母子手帳コピー、病院の証明書、振込口座コピーを提出することです。ただしこちらも自治体によって異なりますので、確認してください。その際に申請の回数制限や、申請の期限なども確認しておきましょう。

<引っ越した場合>


妊婦健診が始まってから、引越しをする場合もあると思います。先ほどもご紹介したように、隣接する市や県、近隣の県、また東京23区などの場合、今持っている補助券がそのまま使えることもあります。しかし多くの場合、そのままの補助券を使用することができません。

そういった場合は、転入先の自治体の補助券に引き換えてもらえることがほとんどです。そのためには、転入届を出すときに母子手帳と未使用分の検診補助券、印鑑を持参するなどの手続きが必要となります。
助成内容が以前より良くなることもあれば、その逆の場合もあるでしょう。

<双胎妊娠の場合>


双子や三つ子を妊娠した場合、母子手帳は当然一人一冊ずつもらえますが、補助券は単胎妊娠と同じ1冊であることが一般的なようです。双胎妊娠などの場合でも、何かトラブルがなければ単胎妊娠と同じペースで健診が行われるので、補助券が足りなくなることに対してそこまでの心配はいらないと考えられます。
自治体によっては、双胎妊娠の補助券を増額している場合もあるようです。

最後に


いかがでしたか?妊婦健診に関する疑問は、少しは解消されたでしょうか。
妊婦健診の回数は一昔前と比べると多くなっているといいます。特に異常がないのに、何度も通うのが面倒だと思う人もいるかもしれませんが、赤ちゃん、母体、そして医療機関側のリスクを最低限に減らすためにも、絶対に必要であることを忘れてはいけません。

また、より安心して妊娠出産に臨めるよう、補助券が14回相当分発行されるようになったのはこの10年の話です。国や自治体の補助内容をきちんと理解し、安心して、面倒がらずに妊婦健診に通い、元気な赤ちゃんを出産してくださいね。

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