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子宮頸がん検診を知ろう 内容・頻度・料金・助成金

子宮頸がん検診を知ろう内容・頻度・料金・助成金

日本で、子宮頸がんは20~30代の女性に増えている「とても身近ながん」であることをご存知ですか。
しかしこのがんは、定期的に子宮の検査を受けて早期発見できれば、比較的治療しやすいがんでもあります。
今回はそんな子宮頸がん検診についてご紹介します。

どれくらいの人が子宮頸癌になる?


日本では子宮頸がんで亡くなっている方は2813人(2015年)。
また、一生のうちおよそ74人に1人の割合で子宮頸がんと診断されています。
しかし、子宮頸がん検診は、早期発見に非常に有効で、検診の実施により死亡率が明らかに減少することがわかっています。

子宮頸がんってどんな“がん”?


婦人科系のがんの中で最も多いものは「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2種類です。
子宮体がんは、胎児を育てる子宮体部の内側にある子宮内膜から発生し、「子宮内膜がん」とも呼ばれています。
一方、子宮頸がんは子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる場所から発生し、子宮の入り口付近で発生することが多いために、婦人科の検査や診察で発見されやすく、早期発見により、比較的治療しやすい、予後の良いがんです。

子宮頸がんの発生の原因とは


子宮頸がんヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関与しています。
HPVは性行為で感染することが知られているウイルスです。子宮頸がんの患者さんの約90%の方から、HPVが検出されています。

多くの場合、HPVに感染すること自体めずらしいことではありません。性交渉の経験がある女性の約80%が、50歳までに感染を経験するとされています。また感染してもすぐにがんを発症するわけではなく、多くの場合は人の免疫力によって体外に排出されます。
しかし、この機能がうまくいかず子宮頚部に長期間残り、感染が続いたことで、その部分ががん細胞へ進行していくことがあります。これが子宮頸がんとなります。

子宮頸がん検診 その内容


子宮頸がん検診の対象者は、20歳以上とされています。
かかりつけの医院がある場合はそこで受けることをおすすめしますが、かかりつけがない場合は地方自治体(都道府県・市町村・特別区)や保健所のホームページ、電話で検診を行っている医院を探すことが出来ます。

主に一般的な子宮頸がん検診の流れは、

①問診(現状の病状・既住歴・家族歴・過去の検診受診状況など)
所定の問診票に記入します。よくある質問に「最終月経の日にち」「生理周期」などがあります。生理周期のメモ等を用意していくと安心です。また初潮年齢や生理痛の有無、妊娠出産の経験、自覚症状等なども聞かれます。
内診の際に、体の気になることなどがあれば、一緒に相談してみるといいでしょう。

②検診(内診)
下着を脱ぎ、診察台に座ります。この際スカートなどの方が下着を取り、あとはめくり上げるだけなので簡単でしょう。診察台はベッドのこともありますが、お腹周りを医師とカーテンで仕切るものがほとんどです。
ここでは、子宮頸部の様子を医師の目で確認します。子宮の形・大きさ・位置・動き・痛みの有無などを診ます。

③細胞診
柔らかい医療器具(ヘラやブラシなど)を使い子宮の入り口をそっとこすり、細胞を摂取します。ここで取った細胞を顕微鏡で調べます。この検査は1~2分で済み、痛みはほとんどなく検査は終了です。

④コルポスコープ検査(必要に応じて)
コルポスコープという拡大鏡で子宮頸部を観察する検査のことを言います。細胞診で精密検査の必要があるという結果が出ると、このコルポスコープの検査を行います。

⑤説明
検査後、医師から現在の子宮の状況や今後の流れ、などの説明を受けます。

このような流れになります。
検査結果は医療機関にもよりますが、検査後10日~1か月ほどでわかります。結果を郵送してもらうか、検査結果を聞きに再受診の必要があるかは医療機関によって違うので確認しましょう。

この検診で「異常なし」となった場合は、ひとまずは安心ですが、その後定期的な健診を受けるようにしましょう。「異常あり」となった場合、精密検査を受ける必要があります。
精密検査で本当に子宮頸がんかを調べ、「異常なし」「良性の病状」と診断された場合は、今後も定期的な検査を必ず受けてください。ここで子宮頸がんと診断された場合は、医療機関での治療が必要です。

検査は痛みがある?


検査を受けたことのない人にとって、婦人科の検診は不安が多いかもしれません。
しかし、子宮頸がんの場合、子宮の入り口に触れられる感触はあるものの、強い痛みを感じることはあまりありません。力を入れすぎたりすると痛みを伴う可能性はあるので、リラックスして受診することが大切です。
また、子宮内膜症やそのほかに異常がみられる場合などは、痛みを伴う可能性があります。

検診の頻度はどのくらい?


検診の受診間隔は2年に1回ほどとされています。
初期の子宮頸がんは全くと言っていいほど症状がありません。
特に症状がなくても20歳を超えたら2年に1回の定期検診を、習慣づけることをおすすめします。性交渉の経験がある方は1年に1度の検診をおすすめしている医療機関もあります。

普段と違う症状が現れたときも速やかに受診しましょう。例えば、月経中でない時の不正出血や性交渉中の出血、普段と違うおりものが増える、月経血が増えた、月経が長引くようになった、など普段と違う症状が少しでも気になる場合はためらわずに受診しましょう。
子宮頸がんは発見が早ければ早いほど、予後の良いがんであり、子宮を温存しての治療が可能になります。

料金


「がん検診って料金が高そう」、そう思われている方も多いかもしれません。
しかし、子宮頸がんは厚生労働省ががん検診の効果が科学的に証明されているとし、検診を推奨しているがんの一つです。
そのため、自治体から補助が出ていることが多く、自治体からの公費検診であれば、無料から2000円程度で検診を受けることが可能です。(子宮体がんの場合は別料金の可能性有)

自治体の補助外で検診を受けたい場合は、医療機関にもよりますが、子宮頸がん検査だけで3500円~6000円程度です。何か症状があって医療機関を受診した場合は、保険適用になるため、3割負担の方は、約1100円程度、超音波検査は約1600円程度です。
医療機関によっては、婦人科の病気の検査をパックとして受けることが出来るようにしているところもあります。たとえば、子宮頸がんと乳がんなどを一回のパック料金で受診できる、などです。

子宮頸がん検診の受診を広めるために


厚生労働省は、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(平成20年3月31日付健発第0331058号厚生労働省健康局長通知別添)を定め、がん死亡率の低下をめざし、科学的根拠に基づいて効果のあるがん検査を市町村の事業として行うように指針を示しています。
この指針の中で、厚生労働省は「胃がん」「子宮頸がん」「肺がん」「乳がん」「大腸がん」のがん検診の受診率を50%以上にすることを目標に、がん検診を推進しています。

しかし、日本の子宮頸がん検診の受診率は先進国の中では驚くほど低く、OECD(経済協力開発機構)のデータによると、米国が82.6%、ヨーロッパ各国も70%を超えるのに対し、日本では先進国22か国の中で23.7%と最低の順位になります。
子宮頸がん検診や乳がん検診などの婦人科系の検査は、受診することに身構えてしまいがちではありますが、進行すると治療が難しくなってしまいます。子宮頸がんの検査の内容を正しく理解し、検診を受けていくことをおすすめします。
子宮頸がん検診の受診率が低い理由として、「時間がない」「面倒」「費用がかかる」「検診のやり方がわからないので不安」「自分は大丈夫と思っている」「検診の存在を知らない」「平日の遅い時間・土日しか検診を受けられない」など様々な理由が挙げられます。

このように受診者の都合による受診率の低迷が大きな問題となっています。また子宮頸がんに関する知識の少なさも問題だと推測されます。
欧米諸国では、幼少期から家族内で子宮の検査を受ける母親の姿を目にすることが多くあり、それが検診を受けることへのハードルを下げ、検診受診率を上げているとも考えられます。性交渉の経験がない少女も検診の大切さを知り、母親と一緒に検査を受けることも一般的です。

また、個人の事情のほかに、いざ受診しようとしても、とれる予約が何カ月も先しか空いていないなど、受診先の病院の受け入れ態勢不足の問題もあります。
自治体からのクーポンを利用しようとしても「申し込みの期間・検診を受けられる期間が決まっている」「対象年齢が決まっている」など、せっかく検診を受けようと思っても条件が決まっており、このことも女性が検診を受けにくくしてしまっている要因の一つと考えられます。

日本も受診率を上げるために、「家庭内の環境、学校教育の一環としてがん教育を取り入れる」「検診を受ける大切さ・検診助成金の認知度を上げる」「制度自体の体制を再考する」など、今一度子宮頸がん検査のあり方を見直していくべきだと考えられます。

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