不妊

不妊治療の基礎知識。代表的な治療の種類と費用まとめ。

不妊治療の基礎知識。代表的な治療の種類と費用まとめ。

 

「不妊治療」という言葉が広く知られるようになり、医学の発展とともに不妊治療の種類も増えてきました。
今では5.5組に1組が不妊の検査や治療を受けたことがあると言われています。

今回は代表的な不妊治療の内容と、それにかかる費用をご紹介させて頂きます。

 

不妊治療開始前のカウンセリングや情報収集について


本格的な不妊治療をはじめる前に、医師からカウンセリングを受けます。
日常生活で行えることを指導してもらい、不妊治療への準備を整えます。また、自分たちでも不妊治療の情報を集め、治療への理解を深めます。

 

① 食事指導
健康な卵子を作るため、また妊娠に向けて母体の状態を整えるために食事指導を受けます。栄養バランスのとれた食事で、ホルモンの働きがよくなり卵子の質を高めることができると言われています。特に不足しがちな葉酸は、妊娠前から摂取することがすすめられています。

② 運動指導
妊娠の確率を高めるためには、母体や卵巣、子宮に十分な血液をめぐらせ、健康な状態を保つ必要があります。そこで、適度な運動をして血流を改善し、体温を上げるようにするのです。

低体温症は、血流が悪くなり免疫力が低下すると言われています。低体温ですとホルモンバランスが崩れやすく、排卵障害を引き起こす可能性があります。日常に運動を取り入れることで、妊娠しやすい体を作ることができます。

③ 勉強会、不妊教室
治療を開始する前に、通院を検討しているクリニックの勉強会や不妊教室へ参加してみましょう。クリニックによっては、必ず参加しなければいけないところもあります。治療方針や医師の考え方を知り、自分たちに合った治療ができるかを判断します。

④ 助成金
不妊治療の費用は、「特定不妊治療費助成事業」として助成金が支給されます。年齢や収入など、一定の条件はありますが、体外受精と顕微授精で費用の一部を負担してもらえます。自治体によって金額や申請方法が異なりますので、お住まいの地域の窓口に問い合わせてみましょう。

 

一般不妊治療について


不妊治療にはいくつかのステップがありますが、初めは「一般不妊治療」から始まります。一般不妊治療とは、自身の卵管を使った治療です。

 

① タイミング指導
医師の診察や検査によって排卵日を正確に予想し、指導のあったタイミングで夫婦生活を持つようにするものです。不妊治療の第一歩とされ、自然妊娠を目指します。費用は受診料や薬代のみで、3,000円~2万円ほどになります。

② 排卵誘発剤
タイミング指導でも妊娠しない場合は、「排卵誘発剤」を使用することがあります。排卵が起こらない、卵胞の発育がよくないなどの排卵障害がある場合、排卵誘発剤で排卵を促します。飲み薬と注射薬があり、基本的には健康保険の適用対象です。費用は約500円~1,500円になります。

③ 人工受精
人工授精は、医療の手を借りてパートナーの精液を子宮に戻す方法です。妊娠までのプロセスは、自然妊娠とほぼ同じです。保険適用外となりますが、1回1万5,000円~2万円程度で行うことができます。

④ 男性不妊
不妊の原因が男性側にある場合は、男性不妊の治療を行います。不妊の原因を探る検査を受け、精子の状態によって、より妊娠の可能性が高いと思われる治療を選択することができます。精子の検査は500円~2,000円ほどで受けることが出来ます。

⑤ 不育症
不育症とは、妊娠はするもののお腹の中で赤ちゃんが育たず、流産や死産を繰り返してしまうことを言います。最近では、不妊症と不育症の治療、どちらも受ける人が増えているとも言われています。不育症の検査や治療は保険外になるものが多く、だいたい10万円前後~15万円ほどかかります。

 

高度生殖医療による不妊治療について


一般不妊治療の次のステップとして、高度生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)による不妊治療があります。ARTでは、体外受精や顕微授精、胚盤胞移植、凍結胚移植といった治療が行われます。

2015年の日本産婦人科学会のデータでは、年間5万人を超える赤ちゃんが、ARTの技術によって誕生したとされています。これは、生まれた子どもの約19.7人に1人という計算になり、その数は年々増えています。

 

① 体外受精
体外受精は、体の外で精子と卵子を受精させて受精卵を作り、2~5日後に子宮の中に戻して着床させる方法をいいます。近年では、一般的な不妊治療として認知されてきていると言えます。体外受精は、排卵誘発剤を使って複数の卵子を採取することになり、身体への負担を感じることも少なくありません。また、健康保険の適用外となるため、1回の費用も30万~50万円と高額になります。

② 顕微授精
顕微授精も、体外受精と同様に体の外で受精卵を作り、子宮内に戻す方法です。体外受精の場合は、精子の力によって受精させますが、顕微授精はガラス管を使って1つの精子を卵子に注入します。体外受精よりも人工的なステップをふみ、高度な医療技術が必要になります。費用は約50万~80万円になり、経済的な負担も大きくなります。

③ 胚盤胞移植
胚盤胞移植とは、体外受精や顕微授精で作られた受精卵を培養し、着床段階の「胚盤胞」になるまで育ててから子宮の中に戻す方法です。これまでのARTでは、初期胚と呼ばれる受精卵を使うのが一般的でしたが、ある程度分割を進めた受精卵をもちいることで着床率を高めることができると言われています。

費用は、体外受精や顕微授精の治療費に加えて、培養費や移植費が10万円前後上乗せされます。

④ 受精卵凍結
受精卵の凍結保存も、不妊治療の1つです。体外受精や顕微授精で得た受精卵を凍らせ、一定期間保存します。例えば、不妊治療が長引いている方や、高齢の方の場合、若くて質の高い受精卵を残しておくことで、将来の妊娠の可能性を高めることができます。

また排卵誘発剤を使った影響で、子宮内の状態が悪化することがあります。受精卵を凍結すれば、子宮を回復させる期間をもうけることができます。個数によって費用は変動しますが、凍結の費用が5万円前後かかります。保存の更新料も1年ごとに5万円程度かかるのが一般的です。

⑤ 精子凍結
受精卵と同様、精子を-196度の液体窒素で凍結して半永久的に保存することを精子凍結といいます。 凍結した精子の安全性は立証されており、男性不妊の治療法として非常に有効です。

凍結保存していれば、人工受精や体外受精の日に確実に精子を用意することが出来ます。また、精子の数が少ない場合には、凍結で蓄積したものを複数回分まとめて治療に使うことができます。1回の凍結費用は2万円前後で、保存期間を延長する場合は、更新料が必要になります。

⑥ 腹腔鏡手術
不妊治療の新しい方法として、腹腔鏡手術による検査があります。腹腔鏡は、さまざまな手術でも使用されるもので、開腹手術よりも負担が少なくてすみます。内視鏡を使ってお腹の中を直接観察することで、子宮や卵巣、卵管の状態を確認することができます。

卵管閉塞、卵管采癒着や子宮奇形といった、妊娠を妨げている原因への治療も同時に行えます。手術には保険が適用されますが、術前検査で1万円前後、手術で5万~15万円程度必要になります。

⑦ 卵管鏡下卵管形成術
卵管鏡下卵管形成術は、狭くなっていたり、詰まっていたりする卵管を開通させるための手術です。卵管が開通すれば、一般不妊治療でも妊娠する確率をあげることができます。日帰りの手術なので、身体への負担はそれほどかかりません。

保険は適用されますが、卵管の片側であれば約15万円前後、両側であれば約30万円かかります。

 

近年注目されている不妊治療について


ここまでは、一般不妊治療や高度生殖医療による不妊治療の代表的な治療内容と、それにかかる費用についてお話ししてきました。

ここからは、近年注目されている不妊治療をご紹介させて頂きます。婦人科や不妊専門とは違った目線で、妊娠しやすい身体を作る治療方法です。全てに共通するのは、「体の調子を整える」ということです。免疫力をつけたり血流をよくしたりする治療が行われ、妊娠・出産に繋がる健康な体を作っていきます。

 

① 不妊内科
「不妊内科」と聞くと、従来の婦人科や不妊専門のクリニックと同じように思われるでしょう。しかし不妊内科は、内科的視点をもって不妊治療にあたる医療機関を言います。

内科は、風邪をひいたり、身体が慢性的に怠かったり、私たちが「少し体の調子がすぐれないな」と思った時に訪れると思います。不妊内科は、そういった体の不調に目を向けて不妊治療を行います。

婦人科や不妊専門のクリニックに通っていると、どうしても「妊娠するか・しないか」という結果に集中してしまいます。しかし、不妊内科では内科的な治療で、母体の調子を整え、妊娠体質を作ることが妊娠への近道になると考えます。不妊内科では、患者の日常生活を注意深くヒアリングし、食事や運動の指導、心的ストレスを取り除く治療が行われます。

② 鍼灸・マッサージ
不妊治療といえば、人工受精や体外受精などの西洋医学の話に偏りがちですが、最近では東洋医学も不妊治療に有効であることが分かってきました。

代表的なものが、鍼灸・マッサージです。実は、鍼灸による不妊治療は世界各国で行われており、学会や論文での発表も盛んです。鍼灸治療を行った人の方が妊娠の確率が高くなったという研究結果もあります。

鍼灸やマッサージは、薬に頼らずに体の機能を改善させることができるため、心身の負担が少ないと言われています。鍼灸・マッサージにより、栄養や血液が体にうまくいきわたって体質が改善すれば、生殖機能の働きもよくなります。妊娠した後も鍼灸・マッサージを継続することで、健康な母体の中で赤ちゃんを育てることができます。

鍼灸師が在籍している不妊専門のクリニックもあります。また、鍼灸院の中にも不妊治療に特化しているところがあります。不妊・妊娠・出産について正しい知識をもったスタッフがいるところを選ぶようにすると安心です。

1回の施術で5,000円~1万円以下のところが多いようです。その効果には個人差がありますが、体質を改善するためには毎週1回、数か月以上の通院が必要だと言われています。

③ 漢方
自然の恵みで作られた薬として、古くから日本で親しまれてきた漢方は、鍼灸治療と同様に、冷え性の改善、血液循環をよくして自律神経を整え、妊娠する力を高める効果があるとされています。

漢方発祥の地である中国の不妊治療では、西洋医学はもちろんのこと鍼灸治療や漢方もあわせて行うことが多く、不妊治療の基本として人気があります。日本でも、漢方外来をもうけているクリニックが増えてきました。

漢方は基本的に、それぞれの症状にあわせて調合・処方されるため、オーダーメイドの不妊治療薬とも言えます。即効性のある漢方もありますが、ほとんどは効果を実感するまでに半年~1年程度かかると言われています。複数のサイトを参考に費用をまとめてみると、1か月の漢方代は約3~5万円のところが多く、妊娠までの費用は約20万~50万円が平均のようです。

 

最後に


ご紹介したように、不妊治療は多岐にわたり、その原因や治療内容、回数によって費用も変わってきます。実際に治療を受ける前の「不妊治療の基礎知識」として、治療を検討されている方の参考になればと思います。

 

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